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訪問販売

訪問販売にはクーリング・オフという制度があり,契約書を受領してから8日以内であれば,契約を解約することができます。また,消費者が,セールスマンの「不退去」により,当惑して契約してしまった場合には,消費者契約法に基づいて売買契約を解約することができます。

訪問販売

事例

 主婦のAさんが自宅で夕食作っていると,突然,化粧品のセールスマンが自宅にやってきて商品を勧めてきました。Aさんは,商品も見ずに断ってしまうのは悪いと考えて,少しだけ話を聞くことにしましたが,聞いたこともない商品だったこともあって,「買うつもりはないので,帰って欲しい」とセールスマンに告げました。しかし,セールスマンはしつこく商品を勧め続けたので,Aさんは,その後も度々「夕食を作っている最中なので早く帰って欲しい」と告げましたが,それでも,セールスマンは無視して,話を続けてきました。そのため,Aさんは,根負けしてしまい,「化粧品を購入するので,もう帰って欲しい。」と化粧品を購入し,代金は1週間後に支払うとされている契約書にサインをしてしまいました。Aさんは,化粧品を購入してしまったことをなかなか夫に言いだせませんでしたが,購入から3日後に夫にこのことを話し,化粧品の売買契約を解約できないかという話になりました。この場合,化粧品の売買契約を解約することはできないのでしょうか。

この事例を聞いた花子さんの見解

 Aさんは,自分で化粧品を購入すると決めているのですから,販売会社と解約するということで話し合いができればいいですが,一方的に解約するのは難しいのではないかと思います。

この事例を聞いた太郎さんの見解

 Aさんは,自分で化粧品を購入すると決めているとはいえ,セールスマンに強引に契約させられたようなものですから,一方的に解約できると思います。

弁護士の見解

 このケースでは,Aさんは一方的に解約できると思われます。
 訪問販売にはクーリング・オフという制度があり,契約書を受領してから8日以内であれば,契約を解約することができます。化粧品をすでに受け取っていた場合の商品の返還にかかる費用も販売業者に負担してもらえます。

花子さんの質問

 それでは,先程の事例で,8日を超えてしまってから売買契約の解約をしたいと考えた場合だったら,どうなんでしょうか。

弁護士の見解

 クーリング・オフは,契約書を受領してから8日以内でなければできませんが,場合によっては8日を超えてもできる場合があります。クーリング・オフの対象となる取引では,契約書に記載しなければならない事項が定められており,その記載が十分になされていない場合には,8日を超えてもクーリング・オフできる場合があります。
 また,消費者は,消費者契約法という法律で保護されており,不当な勧誘によって契約をしてしまった場合には,契約を解約することができます。今回のケースでは,Aさんがセールスマンに帰って欲しいと言っているにもかかわらず,セールスマンは勧誘を続けています。消費者契約法では「不退去」と言われるものですが,そのために,Aさんが当惑して契約してしまった場合には,消費者契約法に基づいて売買契約を解約することができます。

※本記載は平成30年6月16日現在の法律・判例を前提としていますので,その後の法律・判例の変更につきましてはご自身でお調べください。

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