地域への貢献を目指す安心と信頼の法律事務所 西川総合法律事務所
離婚

不倫・浮気の慰謝料

離婚に際しては,財産分与,養育費の他に,慰謝料の請求が認められる場合があり,配偶者に不倫があった場合などは慰謝料の請求が認められます。不倫の慰謝料の金額算定の際に考慮される事情としては,離婚に至る場合か否か,婚姻年数,不倫交際期間,不貞行為の回数・頻度などの要素が挙げられるのが一般的です。他方で,相手の年収額は,法律上の考慮要素にはなりません。

不倫・浮気の慰謝料

事例

 AさんとBさんは,結婚して10年になり,子どもも2人さずかって円満な家庭を築いていました。Bさんは会社の正社員として働き,年収300万円の給料をもらっており,Aさんはパート社員として働き,年収90万円で,経済的にもなに不自由なく,平穏な毎日を送っていました。
 そんなある日,衝撃の出来事が!Aさんが,テーブルに忘れて置いてあった夫のBさんの携帯を何気なく見ていると,女性から届いたメールを発見!さらに,その女性とのメールのやり取りを見てみると,夫のBさんはその女性と浮気をしているのではないかと思えてならない内容でした。
 Aさんは,夫のBさんに携帯のメールを見たことを打ち明けるか悩みましたが,思い切ってその女性との関係を尋ねました。Bさんは,最初は誤魔化そうとしていた様子でしたが,メールの内容から考えてBさんの弁解が不自然だと,Aさんが問い詰めると,Bさんは観念した様子でその女性との不倫を認めました。Bさんの説明では,その女性との不倫関係は2年にもなるようで,Aさんは,円満な家庭だと思っていたのに,そんなに長期間裏切られていたことにショックを受けてしまいました。
 Aさんは,自分の両親とも相談し,両親からは子ども達のために夫婦関係をやり直すことを勧められ,子ども達のために離婚することを思いとどまるべきか,Aさんも悩みました。しかし,どうしてもBさんに裏切られたことを許すことができず,Aさんは離婚することを決意しました。
 この場合,AさんからBさんに対する慰謝料請求として,いくらくらいの金額が認められるでしょうか。

この事例を聞いた花子さんの見解

 Aさんは,何の落ち度もなく,一方的に裏切りにあった訳ですから,Bさんには相当なペナルティーが課されて当然だと思います。慰謝料として,Bさんの年収分くらいもらえて当然だと思いますので,300万円くらいはもらえるんじゃないでしょうか。

この事例を聞いた太郎さんの見解

 私も,一方的に裏切りにあったAさんは気の毒ですし,Bさんもひどい男だと思うんですが,慰謝料として年収分を払わなければならないというのは,さすがにBさんも可哀想ではないかなと思います。半分の150万円くらいではないかなと思うんですが。

弁護士の見解

 今回のケースでは,Aさんには,Bさんに対する慰謝料として,およそ300万円が認められると思います。
 離婚に際しては,財産分与,養育費の他に,慰謝料の請求が認められる場合があり,今回のケースのように不倫があった場合も慰謝料の請求が認められます。
 問題は,その金額なんですが,不倫の慰謝料の算定の際に考慮される事情としては,離婚に至る場合か否か,婚姻年数,不倫交際期間,不貞行為の回数・頻度などの要素が挙げられるのが一般的です。そして,一番重視される要素が,離婚に至る場合か否かという要素で,裁判例上,離婚に至る場合は,慰謝料として300万円くらい認められることが多いと思います。

花子さんの質問

 相手の年収額なんかは,不倫の慰謝料の考慮要素にはならないんですか。

弁護士の見解

 相手の年収額は,法律上の考慮要素としては重要なものではなく,高額の収入がある人が相手の場合,高額な慰謝料を要求されても払えてしまう場合がある,という事実上の考慮要素とでもいうべきものだと思います。法律上は,年収1000万円だから慰謝料も300万円を超えて認められるという訳でもなく,年収1億円の人でも不倫の慰謝料は300万円が相場だと思います。

花子さんの質問

 ちなみに,夫であるBさんもそうなんですけど,Bさんの不倫相手も,Aさんは許せないと思うんです。不倫相手にも,慰謝料請求することはできるんですか?

弁護士の見解

 はい,夫の不倫相手にも慰謝料請求ができます。余程の事情がない限り,金額は夫に対する金額と一緒です。
 今回のケースなら,Aさんは不倫相手にも,およそ300万円の慰謝料を請求できると思います。

花子さんの質問

 ということは,Aさんは,夫のBさんから300万円,不倫相手からも300万円,合計600万円もらえるということになるんですね?

弁護士の見解

 いいえ,実はそうではないんです。
 Bさんと不倫相手が負う債務は,法律上,「不真正連帯債務」と呼ばれていて,Aさんは,Bさんから回収しても,不倫相手から回収してもいいんですが,総額で300万円をもらえるにとどまるんです。

太郎さんの質問

 ちなみに,離婚に至らない場合はどれくらいの慰謝料が認められるものなんでしょうか。

弁護士の見解

 離婚に至らない場合は,ケースバイケースになってしまいますが,離婚に至る場合よりかなり少額にはなります。随分幅はあるんですが,数十万円から150万円までの範囲内になることが多いと思います。

※本記載は平成30年4月5日現在の法律・判例を前提としていますので,その後の法律・判例の変更につきましてはご自身でお調べください。

法律相談事例一覧に戻る