10歳未満の子供の親権については,基本的に母親のほうが強いと言われており,そのような場合,奥さんが親権を取得する可能性が高いといえます。奥さんの収入が少なくても,養育費でカバーすることは可能です。離婚の原因が奥さんの浮気にあるケースでも,子供の親権が奥さんのものになる可能性は十分にあります。
事例
性格の不一致で離婚を考えている年収500万円の会社員の夫Aさんと年収90万円のパート職員の妻Bさん。離婚すること自体は合意していますが,双方が6歳の長男と4歳の長女の親権を主張していて譲りません。AさんとBさんの夫婦は,現在,夫Aさんの実家で暮らしていて,Aさんの父母も孫を手放したくないと言っており,また,Aさんは,子供に対してはいい父親で,子供達は,父親によくなついています。この場合,子供達の親権は,Aさんのものになってしまうのでしょうか。
この事例を聞いた太郎さんの見解
妻のBさんの収入は,子供を育てていくには十分でないでしょうし,夫のAさんが今後の子供の面倒を見ていく場合でもAさんの父母の協力が得られるでしょうから,子供達がAさんによくなついていることも考えると,親権はAさんのものになるのではないでしょうか。
この事例を聞いた花子さんの見解
子供は,まだ小さいですし,母親のもとで育てられるべきだと思います。妻のBさんの収入が少なくても,Bさんの実家に戻って生活費を抑えることもできるでしょうし,夫のAさんから養育費ももらえばよいでしょうから,親権は妻のBさんのものになると思います。
弁護士の見解
このケースでは,子供達の親権は,妻のBさんのものになる可能性が高いと思われます。10歳未満の子供については,基本的に母親のほうが強いと言われていますし,奥さんの収入が少ない点も,先程お話しがあったように養育費でカバーすることは可能ですので,子供達が夫のAさんによくなついていることを考慮しても,親権は妻のBさんのものになる可能性が高いと思われます。
太郎さんの質問
先程の事例で,離婚の原因が妻のBさんの浮気にあった場合だったら,どうでしょうか。
弁護士の見解
確かに,離婚の原因が妻のBさんの浮気にあるという点は,Bさんに不利に働く要素だと思います。
しかし,このようなケースでも,子供達の親権がBさんのものになる可能性は十分にあります。必ずしも,Bさんの浮気が,親権者を決める際の決定的な要素にはならないんです。
※本記載は平成30年4月27日現在の法律・判例を前提としていますので,その後の法律・判例の変更につきましてはご自身でお調べください。