令和4年5月3日,朝日新聞の憲法記念日広告に当事務所所属の西川文雄弁護士の鳥取県弁護士会会長挨拶が掲載されました。
掲載された会長挨拶の内容は以下のとおりです。
戦争は,「絶対悪」です。
戦争は,罪のない多くの市民の生命を奪う「究極の人権侵害」です。
日本国憲法は,その前文において,「日本国民は,恒久の平和を念願し,人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて,平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは,平和を維持し,専制と隷従,圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において,名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは,全世界の国民が,ひとしく恐怖と欠乏から免かれ,平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」と規定して,恒久平和主義を宣言し,全世界の市民に平和的生存権が存することを確認しています。
ロシア連邦によるウクライナ侵攻は,このような恒久平和主義・平和的生存権の理念からは到底許すことのできない暴挙と言わざるを得ません。
世界の歴史上,戦争の戦勝国が形作った国際秩序を,後の戦争の戦勝国が覆すことは,当然のように繰り返されてきました。ロシア連邦にしてみれば,第二次世界大戦の複数の戦勝国が形作った国連に基づく国際秩序も,後の戦争においてロシア連邦1国が戦勝国となり覆せるものに過ぎない,という考えなのかもしれません。
しかし,戦争は,「絶対悪」です。戦争は,「究極の人権侵害」です。
世界の一部の権力者などを除き,全世界の市民が戦争を望んでいないことは,世界共通の認識でしょう。
日本国憲法の恒久平和主義・平和的生存権の理念を実現する手段は1つではないのでしょう。そして,どの手段が正解であるとも,誤りであるとも,断定できないのでしょう。しかし,絶対に正しいと自信をもって言えることは,「戦争は絶対にしてはならない。」ということです。
だからこそ,我々鳥取県弁護士会は,市民の皆様とともに,日本国憲法を学び,考え,その理念の実現に向けて努力をしていきたいと考えています。
鳥取県弁護士会 会長 西川文雄